集い、続く場所 1
◆ご要望
旧料亭の、サテライトオフィスへのリノベーション。
建物やお庭の雰囲気を活かしながら、維持管理がしやすく、コワーキングやイベントスペースとしても利用できるお庭を、というご依頼です。
◆After
◇ 全体の構成
道路側から見て顔となる正面の庭(①)と、共用スペースとしての中庭(②)。
正面側と中側の高低差をそのままに、ウッドフェンスが空間を二つに区切り、実用面もかなえるお庭となっています。
◇ ①正面
階段サイドに、大小の景石。
以前のお庭にあった石に加え、既存の石積みと同じ種類の石を使い馴染み良くしました。土留めの役割を果たしつつ、正面に相応しい重厚感を出します。
間の植栽は、石の硬さを適度に和らげます。
◇ ②中庭
二枚の大きなウッドデッキに、周りは目隠しのウッドフェンスで囲みました。テーブルや椅子を並べ、大人数で過ごせる共用スペースとなっています。
デッキは一枚ずつ、別々のグループが利用するのはもちろん、両方を一つのグループが一度に利用することもできます。
中庭(②) 茶室側から
二枚のウッドデッキ 敷石と飛び石 でつなぐ通路
母屋から茶室の間を、土間コンクリート、ウッドデッキ、さらに敷石・飛び石をはめてつないでいます。この一連の流れが、母屋と茶室を行き来する際の通路ともなります。
既存の、真正面に向かい合わない母屋と茶室同士の配置を活かし、単純化してしまわないようなデザインを意識しました。
◇植栽
雪が降る北部の気候に耐えうる樹種の中から、枝ぶりの線が細い自然樹形のものを使いました。
アオダモ、ソヨゴ、ミツバツツジをはじめ、正面側にはさらにヤマボウシ、ドウダンツツジを、中庭側には常緑ヤマボウシ、ヤマモミジ、ジュンベリー、サルスベリの木を新しく入れています。中庭にはカシ等の大きな木が元からあり、それがメインとなって映えるように、大小のバランスや配置を考え植栽しています。
自然樹形ではボリュームを抑えるよりは、その作りこまれていないのびのびとした樹形を保つための剪定がなされます。ゆえに剪定の仕上がりは長く崩れにくく、管理コストも少なくできます。
◇その他の工夫
母屋内装のリノベーションに合わせて、ウッドデッキ・フェンスをはじめ、お庭全体に和風では一般的に使わない材料を所々に使っています。植栽についても自然樹形を用い、印象が和に強く傾かないようにしました。
建物に違和感なく、利用する側にとってもとりつきやすい雰囲気づくりを意識しています。
木目の模様がついた、L字コンクリート塀。
ウッドフェンスとの統一感をもちつつ、フェンス全体の印象を引き締めます。
夜のライトアップ。
下からの全体にふわりと広がる光は、木々の影を柔らかく映し出します。
◆Before
正面
中庭 母屋側 中庭の池
中庭 茶室側① 中庭 茶室側②